sequal

補足として登場人物の読み方書いておきます。 ルビの打てるのかもしれないけど、分からないのでここでm(__)m 大園 貴斗…おおその たかと 八谷 大矢…はつたに ひろや 安曇 司…あずみ つかさ * 暖かい五月中旬の昼下がり。 注文したブラックのアイスコーヒーは…

僕の体を濡らした雨は、ポタポタと滴り落ちていく。鼻の先から、顎の下から、胸の辺りから。太陽の沈んで黒雲で覆われた空は、地響きを起こしながら光と共に僕を追いつめようとしているようだ。今朝の予報では、夜は星が見える程晴れるだろうと言われていた…

泡沫の彼 2

「退院おめでとう」 彼に別れを告げて一週間後に決まった退院の日、病院を出た私の前に忽然と姿を現したのは、意外にも彼だった。退院祝いも持たずに手ぶらだけど、彼がここに来た事が私にとって最高の贈り物だ。 状況を飲み込めず、本当に智希なのか何故こ…

泡沫の彼 1

交通事故に遭った夜、事故現場が病院と近かったため即座に応急処置を受ける事ができ、三日後の昼間に、私は意識を取り戻した。だが、そこからが問題だった。外傷は軽度のものだったが、事故に遭った時のことを全く覚えていない。医師に覚えている事はないか…

ユラユラに情愛 2

二十四歳の私に出来た三歳年下の彼との初めてのデートは、十時に駅前の時計の下で落ち合う約束をした。私と彼には初々しさや緊張感なんてまるで無い。私は自分に彼氏というポジションの人物がいるならそれで良いと考えているし、彼は日本にモテるチャラ男ラ…

ユラユラに情愛 1

「話があるなら早くしてほしいんだけど」 付き合い始めて一ヶ月になる恋人に、行きつけのカフェに呼び出された。いつもと違うのは、彼が身にまとった空気と、怒りのちらつく強ばった面持ち。何を話されるかなんて、安易に想像できていた。まただと、もう悲し…

棘と蜜 5

不思議な事に、翌日からも彼女は僕と同棲を続けていた。朝は朝食と昼食を作り、夜も丁寧に夕食まで、何事も無かったかのように僕の分まで用意してくれる。言葉を交わす事は無くとも、彼女の行動だけにしても十分信じられるものでは無い。家事を命じられた感…

棘と蜜 4

今朝目が覚めてからはすっかり忘れていたが、今日は付き合って一年の日だった。 今日渡せなくてもいいから、何か買っておこう。一緒に撮った写真を現像して飾っておくためのフォトフレームとか、二人のためのものよりネックレスだとか指輪だとかそういうアク…

棘と蜜 3

初めて叶衣が声を荒げた日から二週間ほどが経ったが、彼女はハマったと言いながら家事をこなし続けていた。掃除や洗濯、食事、昼食には可愛く盛り付けた弁当まで用意してくれる。更に結婚生活を思わせて、この子と結婚したら幸せなんだろうなと思った。 僕は…

棘と蜜 2

玉ねぎとわかめを入れて作った味噌汁の沸きだして渦巻いている様は、まるで僕の心を映すようで腹が立つ。フライパンに薄く広げられた卵の焼けた匂いと、淡く優しい綺麗な黄色が、そんな僕の心を落ち着かせた。 近付いてきた足音が途切れ、視界の隅に台所を覗…

棘と蜜 1

〝次のニュースです。東京都八王子市の山中で白骨遺体が発見され、死体遺棄事件として捜査が進められていた事件で、今朝未明身元が判明した事が分かりました。遺体は一年以上前に誘拐失踪事件として報道された、東京都中野区に住んでいた加藤真子さんで…〟 …

はじめます。

このたび、 このブログを建設してみました。 このブログでは 小説を書いていこうかなぁと 思っています。 よければ、 暇な時に読んでやってください。